2007/12/05

鼠径ヘルニア ・ 陰のう水腫

【鼠径ヘルニア】

胎内にいる時期には、赤ちゃんのそけい部(大腿の付け根)に腹膜鞘状突起(ふくまくしょうじょうとっき)というがあります。

これは、生まれる前に閉じて無くなりますが、閉じずに残って生まれてくる赤ちゃんもいます。

するとその中におなかの中の臓器がはいりこみ、外から見ると大腿の付けねがふくらます。

これがそけいヘルニアです。

ふくらみの大きさは、袋の大きさや、入り込む臓器の量によって違います。

男の子では陰のうまでふくらむこともあります。

子供の場合、簡単な手術で退院も早いようです。

ヘルニアを放置すると、ふくろの中に入り込んだ臓器が入り口でしめつけられて、おなかの中に戻らなくなる危険があります(かんとんヘルニア)。

もし、腸がしめつけられると、腸閉塞をおこしておなかが痛くなり、食べられなくなったり、吐いたりします。

かんとんヘルニアの状態が長時間続くと、臓器に血が通わなくなり、腸や、精巣(こう丸)、卵巣などが障害される危険があります。

そけいヘルニアが自然に治る見込みはゼロではありませんが、一般に少ないと言われています。

【陰のう水腫】

先天性の病気です。

胎内で、精巣が陰のうに下降したあと、閉じるはずの腹膜鞘状突起が開いたままになっていたり、閉じるのが遅かったりすると、腹水がここを通って陰のうに流れこみ、大きく膨れます。

多くは片側にだけできます。

ぶよぶよした感触があり、痛みはありません。

出生直後かしばらくして起こることが多いです。 陰のうにたまった分泌液は体内に吸収されるので治療の必要はなく、ほとんどは1~2歳頃までに治ります。

ただし、陰のうが異常に大きい時や、三歳すぎてもはれている場合は、圧迫し破裂する危険があるため、腹膜鞘状突起を閉じる手術を行います。

手術は15~20分くらいで終わり、2~3日で退院できます。

ヘルニアとちがい、ふくろと腹腔との間が交通しておらず、腸が出入りしていないため、生命の危険はありません。

ただし、陰気のうが急に大きくなり痛みを伴うとき、陰のうが大きくなっちり小さくなったりする場合は、「そけいヘルニア」も考えられます。

陰のうに懐中電灯で光をあてると、陰のう水腫の場合は精巣がすけてみえますが、そけいヘルニアの場合はすけてみえません。