花粉症花粉が目や鼻の粘膜についてひき起こされる、アレルギー性鼻炎や結膜炎のことです。
●原因
アレルギー体質の人が、ある特定の花粉にくり返して接しているうちに、血液中にその花粉に対するIgEという抗体(血液中を流れているたんぱく質の一種)を作ります。
このIgEは一部、肥満細胞などのある種類の白血球の表面について存在していて、そこにまたその花粉がくっつくと、その白血球のなかから多くの化学物質が出され、様々な症状を起こします。
なぜ、体がそういう自分に不利な反応を起こすのかはわかっていません。
花粉症は自動車、特にディーゼル車の排気ガスがあるとさらに悪化することはよく知られています。
風邪の症状とよく似ていますが、違うところは毎年、決まった季節に症状が出るということです。
花粉症は、特定の花粉に触れるとすぐ症状が出るタイプの即時型アレルギーを主としていますので、花粉の多い時に症状も必ず悪化します。
そのため、血液中のその花粉の特異的IgE抗体を調べると高く出ることが多く、季節による症状の変化と合わせて、原因の花粉を特定することができます。
●症状
一年のうち特定の花粉が飛ぶある季節になると、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状に悩まされ、目が痒くゴロゴロ、チカチカして赤く充血します。
これらの症状のため、仕事や勉強に熱中できず、夜も熟睡できないため大変疲れます。
また、体全体がだるく頭がボーっとして気力がなくなったり、イライラしたりします。
のどが痛んだり、かゆくなったり、咳が止まらなかったり、気管支喘息が出たりすることもあります。
アトピー素因のある子供は、まず、乳幼児期に食物アレルギーが主に関係したアトピー性皮膚炎になります。
幼稚園から小学生になるとダニアレルギーが主に関係した気管支喘息になり、中学生以上になるとダニや花粉が主に関係したアレルギー性鼻炎になります。
このようににアレルギーの症状が次々変化していくことをアレルギーマーチと言っています。
しかし、今まで何のアレルギー症状もなかった大人が、ある日突如として花粉症やアトピー性皮膚炎になったり、乳幼児期にアレルギー性鼻炎が発症したりしています。
アレルギー性疾患は年を追うごとに急速に複雑化、重症化、低年齢化してきています。
●治療
抗アレルギー内服薬を使います。
以前は副作用として眠気がくることが多かったのですが、最近は眠気のこないものも開発されています。
花粉症は、花粉の飛ぶ季節が決まっているので、その期間だけ薬をのめばよいことになりますが、症状が出てきてから内服し始めるよりも、少し前から始めて、症状を予防した方がよいようです。
また、鼻と目の症状に対して、 点鼻薬、点眼薬も効果があります。
症状が極度にひどい場合は短期間に限り、ステロイドの点眼、点鼻やときに内服薬を使うこともあります。
また、皮内注射による誘発中和療法や減感作療法も有効です。
●予防
花粉症の予防は他のアレルギー性疾患と共通しており、まずそれをできる限り避けることです。
花粉は一般的に、空気が湿っている朝方や雨の日には飛ばず、気温が上昇して空気が乾燥する天気のよい日の昼過ぎから飛び始め、夕方、風が弱くなると空高く舞い上がった花粉が降りてきます。
天気のよい日の午後の外出や、窓を開けての換気はできる限り控え、洗濯物や布団は午前中に干して、よくはたいたり掃除機をかけて早めに取り入れることです。
布団に花粉がついていると、夜中の症状がひどくなります。
また、外出時は花粉用のマスクを使用し、外から帰ったら、手や顔を洗い、うがい をし、服や髪の毛をよくはたいたり、除機で服や室内の床に落ちた花粉をこまめに吸い取るくらいの用心深さがあってもよいかも知れません。
室内にいる人が、外から帰ってきた人の服についていた花粉に反応することもあるからです。
寝不足、過労、ストレスを避け体調を整えておくと症状が軽くてすみます。
花粉の飛ぶ少し前から抗アレルギー剤を内服することも懸命です。